|
モバイルLinuxがどこにでもある新時代
モバイルLinuxに関する業界展望
執筆者:Bill Weinberg、アナリスト/ストラテジスト、Open Source Development Lab(OSDL)
2006年2月
この記事をダウンロード (PDF: 164KB)
概要
過去5年間に、Linuxはインテリジェントデバイス用プラットフォームとしての脇役的な位置付けから、組み込み設計に広く利用される支配的な存在にまでなりました。オープンソースオペレーティングシステムの進出は、通信から家庭用電化製品、車載アプリケーション、産業用制御システム、さらには航空宇宙および防衛分野まで、組み込みアプリケーション全般に及んでいます。現在では、あらゆるタイプのデバイスが組み込みLinuxの導入から恩恵を受けています。しかし、そうした急速な進出の牽引役を担っているのは、ネットワークに接続して音声、データ、ナビゲーション、およびエンタテイメントコンテンツを提供するデバイスである「サービスデリバリビークル」です。
採用のトレンド
調査会社Venture Development Corporation(VDC)の報告によると、2005年にLinuxベースのOSソフトウェアは、新規の32ビットおよび64ビット設計による利益の25%を獲得し、開発者の29%が次期プロジェクトでLinuxの使用を計画しています。こうした位置を占めるLinuxは、従来のリアルタイム/組み込みOSプラットフォームやMicrosoftの組み込み製品に比べて大きく優位に立っています。また、VDCによると、組み込みLinux設計の市場では、主要な設計分野は家庭用電化製品(35%)と通信(30%)の2つです。モバイルワイヤレスはこれら2つの主要分野が交差する領域であり、Linuxは次世代モバイルテレフォニー(特にハイエンドの「スマートフォン」と機能豊富なミドルクラスのハンドセット)用のプラットフォームOSとして、すばらしい成長を遂げています。スマートフォン市場では、Linuxの設計と導入が飛躍的に増加しています。Gartnerの調査によると、急速に成長するスマートフォン市場(年間成長率85%)において、Linuxは2005年、シェア13.7%で幸先のよいスタートを切り、第2四半期までに25%にシェアを伸ばしました。これは、Windows Mobile、Palm OS?、RIMのシェアをはるかに超えています(ただし、Symbian OSには及びません)。数量ベースでは、Canalysの調査によると、Linuxスマートフォンの出荷台数の伸び率は前年比800%を超えています(2005年第3四半期現在)。ミドルクラスのLinuxフォンは、日本の最大手であるNTT DoCoMoネットワークにも浸透しつつあり、PanasonicとNECは500万台ものミドルクラスのハンドセット(フィーチャフォン)を出荷しています。Panasonicが2005年12月にLinuxベースのハイエンドフォンに力を注ぐ方針を発表したことは、日本のプラットフォームにとってよい前兆といえます。日本では、2007年までにLinuxフォンのシェアが15~20%に拡大する可能性があります。
モバイルアプリケーションにLinuxが選択される理由
5年前に組み込みシステム開発者がLinuxで開発を始めた当時、彼らの動機は不明瞭で、疑わしいところさえありました。Linuxの占有領域はレガシーRTOS(リアルタイムOS)よりも1桁大きく、その応答は段違いに低速でした。そのプラットフォームには初歩的なツールしか用意されておらず、その使用をサポートしているサプライヤはまったくではないにしても、ほとんどありませんでした。実は、組み込みシステムへのLinuxの使用は、その特性のためではなく、むしろ特性に反して行われることが多かったのです。
今日では、Linuxベースのシステムを構築し、導入するためのテクノロジーは組み込みシステムの開発のニーズにより適合していますが、組み込みシステムの要件も変化していることを理解することが重要です。過去の設計が通常、スタンドアロンで、リソースに制約があり、またハードウェア中心であったとすれば、今日のLinuxを導入するアプリケーションは、高度に結合され、リソースが豊富であり、またソフトウェアコンテンツとその付加価値によって特徴付けることができます。こうした移行の原動力は、あまねく普及したIPネットワーキング、DRAMとフラッシュメモリのメガバイトあたり価格の低下と容量の急速な増大、32ビットおよび64ビットCPUの圧倒的な普及、平均的なデバイスにおけるアプリケーションコード行数の年々の倍増といった要因です。したがって、Linuxが組み込みシステムの要件に適応して発展する一方で、同時にそれらの要件の方も、LinuxとエンタープライズOSの特性に応じて「成長」しています。
開発者の動機
個人レベルでは、組み込みシステム開発者とエンジニアリングマネージャは、従来のRTOSプラットフォームの場合と同じパラメータを使用し、それに多少の工夫を加えてLinuxを評価しています。技術的側面では、彼らはLinuxのパフォーマンス(応答およびスループット)、幅広いハードウェアサポート(CPU、周辺機器、およびボードのサポート)、および利用可能なツールとユーティリティに目を向けています。これらの特性に加えて、自由にカスタマイズでき、また膨大に蓄積されたUNIXに関する既存の専門技術およびリソースを、Linuxのために活用したりできることも重視されます。こうした従来の価値のほか、開発者は、購入および導入コストを削減できること、また、これまでと違ってコミュニティベースで自主的に物事を決定でき、一つのサプライヤに振り回されることがなくなることにも魅力を感じています。
メーカー側の原理
企業レベルでは、OEM企業が(システム開発者らと)同様の利益を享受していることは確かですが、彼らにとってLinuxとオープンソースは「戦略的な」選択であり、RTOSのように戦術(ツール)としての採用ではありません(こちらはむしろハードウェアコンポーネントの選択に似ています)。OEM企業は、グローバルブランドのメーカーであれ、新興市場の新参サプライヤであれ、製品ラインに関する共通の課題に直面しています。それらの企業は、一連の製品を開発、導入、およびサポートし、サービス対象の市場の要件と特徴に対応する必要があります。OEM企業は、エントリレベルのデバイスとフル機能のデバイスを提供しなければなりません。差別化や利益の拡大のために、ハイエンド製品を提供することも必要です。地理的環境、言語、および国別規格の多様性によって、問題はさらに複雑になります。また、OEM企業の製品ラインには、継承されたテクノロジーや買収されたテクノロジーが使用されていることもあります。場合によっては、デバイスのOEMメーカーは、独自のプロセッサ、ワイヤレス、およびマルチメディアチップセット、互換性のないOS、ミドルウェア、およびアプリケーションを使用することもあります。製品ラインがそのように異種混在型である場合は、それぞれにエンジニアリングチームとサポートチームを用意し、トレーニングを施し、維持管理を行う必要があります。市場が薄利化している状況で共通性が低下すると、モバイルデバイスのOEM企業は、他の分野と同じような規模の経済利益が得られないため、収益性がさらに圧迫されます。
こうした課題に対処するため、IBM、Philips、Sonyといったさまざまな企業がLinuxとオープンソースに目を向け、異種のハードウェア、ソフトウェア、エンジニアリング、マーケティング、および製造を統合しています。Linuxは対応範囲が広いため、エンジニアリングのフラグメンテーションが緩和され、分岐した製品ラインや業務プロセスからくるダウンストリームコストが削減されます。購入コストと部品表(BOM)の影響を軽減することによって、OEM企業の収支はさらに改善します。それは、サービスサブスクリプションの全期間を通じてしかコストを回収できないモバイル/ワイヤレスのようなビジネスでは特に顕著です。
採用への障壁の克服
インテリジェントデバイスでLinuxの採用が全体として急増しているにもかかわらず、重要な障壁が、特に主要な垂直市場とアプリケーションで残っています。モバイル/ワイヤレス市場では、Motorola、NEC、Panasonicといった企業が、この分野の相当な専門技術を活用し、Linuxとその他のFOSS(Free and Open Source Software)コンポーネントを使用してハイエンド電話機を構築できることを実証しています。しかし、これらのメーカーやこの市場に参入したばかりのその他の企業は、モバイルハンドセットでLinuxを使用するために、より最適化されたモバイルプラットフォームとより合理化された開発プロセスを必要としています。また、専用のGPRSまたはEVDOインターフェイスやその他の高価なサポートチップを持たないミドルクラスおよびローエンドのデバイスでLinuxを導入することも望んでいます。
そのために、OSDL Mobile Linux Initiative(MLI)、Consumer Electronics Linux Forum(CELF)、Linux Phone Standards(LiPS)Forumといった業界コンソーシアムが設立され、LinuxとFOSSのエコシステムに存在する格差を特定して穴埋めし、モバイルフォンやその他のワイヤレスクライアントでの採用を促進しようとしています。特に、Motorola、ACCESS、Siemensといった企業が参加するOSDL MLIは、次の重点分野を挙げています。
技術的課題
モバイルフォンの設計と製造には無数の技術的要件がありますが、次の項目は、迅速な開発と量産化速度(Time to Volume)に対して最大の障壁となります。
- 開発ツール
- パフォーマンス
- I/Oおよびネットワーキング
- 電力管理
- メモリ管理
- セキュリティ
- マルチメディア
- ストレージ
経済上、運搬上、および規制上の障壁
障壁は技術的なものばかりではなく、多くは運用上の障壁です。最もやっかいな課題のいくつかは、エンドユーザのデバイス操作ではなく、通信事業者とモバイル事業者のネットワークへのデバイス統合から発生します。
法律上および規制上の問題
モバイル事業者は、ワイヤレスプロトコルやスペクトル使用に関する規制の徹底した遵守などの要件を大量にサプライヤへ提供します。FOSSでは、ハッカー、それにエンドユーザでさえ、規制上または安全上の限度を超えて無線周波数特性を変更してしまう恐れがあります。
プラットフォームの整合
選択肢の多様さは好ましいことですが、多すぎるとフラグメンテーションにつながります。今日では、チップメーカー、Linuxディストリビューション企業、ISV、およびOEM企業が、さまざまなバージョンのLinuxカーネルとスタックを提供、導入、および保守できるため、統合とアプリケーション開発が複雑化しています。
機能のメインストリーム化
Linuxフォンを構築および導入するためのハードウェアとソフトウェアによるサポートがありますが、それらの機能は、カーネルの各バージョン、パッチ、デバイスドライバ、その他のソフトウェアがLinuxのメインソースツリーに含まれないためメインストリームではありません。マイナーな「Fork」でさえコストを発生させ、相互運用性を制限する場合があります。
普及に向けて
上記のような障壁が存在するなかで、Linuxフォンの構築と導入、通信事業者とモバイル事業者へのマーケティング、およびエンドユーザへの普及を容易にするために、Linuxおよびモバイル業界はどのようなステップをとるべきでしょうか。
プラットフォームの事前統合
モバイルOEM企業およびODMは、多くの場合、次世代デバイスの構築に必要なリソースや中核となる能力について社内的な問題に直面します。大部分のハンドセットメーカーは、自社製および旧世代のCOTS(Commercial Off-the-Shelf)フォンソフトウェアを統合した経験があります。しかし、マルチドメインの専門技術(テレフォニー、TCP/IPおよびワイヤレスデータネットワーキング、メッセージング、マルチメディア、ミドルウェアとアプリケーションのオープンソース開発など)の複雑さと必要性の増大に、現在利用できるリソースと専門技術では対応できなくなる場合があります。基幹コンポーネントを外部委託しても、統合の問題は深刻化するだけです。統合作業自体を外部に委託しても、多くの場合、対象分野について社内スタッフよりもさらに低い専門技術しか持たない技術者に、この非常に重要な作業を引き渡すことになってしまいます。
事前統合は、OEM企業にとって次のように明らかな利点があります。
- 製品の開発サイクルが加速および短縮され、より早く製品化できます。
- 総開発コストを削減できます。
- ベンダーインターフェイスが統合され、サポートの負荷を軽減できます。
- 付加価値を伴わない業務が一掃され、開発者を製品の差別化に専念させることができます。
- 最終製品の品質が向上し、顧客(通信事業者、モバイル事業者、エンドユーザ)の満足度を向上させることができます。
事前統合されたモバイルソフトウェアスタックの定義
今日では、ソフトウェア「スタック」を一般的な概念としてとらえています。スタックとは、最終製品に含まれるソフトウェア全体を指します。主に製造または配布チャネルにおいて価値を付加するOEM企業にとっては、ソフトウェアスタック全体を構成するコンポーネントを利用できることが重要です。しかし、大部分のデバイスメーカーはオリジナルの設計と機能に関して相当な価値を付加しており、R&D予算を投入しても、スタックまたはソリューションが「分散化」する結果となる場合があります。そうなると差別化の余地はなくなります。
OEM企業は、Goldilocks*のような状況に陥ることがあります。一方には不十分な(カーネルとハードウェアサポートしかない)スタックがあります。そのようなシステムレベルの最小限のプラットフォームでは、ミドルウェア、アプリケーション、および統合についてはOEM企業が負担することになります。他方には過大な(「完全」だが差別化したり価値を付加したりする余地または手段のない)スタックがあります。そのまま使える現用の電話機設計は、製造でしか価値を付加できないODMには最適かもしれません。しかし、ブランド電話機のOEM企業やその顧客は、ブランド設定、サービス提供、およびネットワーク相互運用性の詳細に合わせてアプリケーションとミドルウェアを調整する必要があります。実際には、1つですべてに対処することはできません。「ジャストライト(ちょうどよい)」スタック構成を見極めるには、次の表を参考にします。
| スタックの説明 |
完全性 |
OEM/ODM企業による価値の付加 |
課題 |
| 既成の完成品 |
90-100% |
ブランド、製造 |
最小限の差別化 |
| パッケージ化された「ソリューション」スタック |
80% |
ルック&フィール、管理インターフェイス |
ブランド設定は同一の機能で埋め合わせ、コンポーネントはコモディティ化 |
| OSプラットフォーム、開発ツール、およびミドルウェア |
60% |
アプリケーションスタック、管理インターフェイス |
デバイスOEM企業は価値の付加と差別化のために投資 |
| ハードウェアとOSプラットフォームのサポート |
40% |
アプリケーションスタック、管理インターフェイス、ミドルウェア、ドライバ |
価値を付加する可能性は最大(相当なエンジニアリング作業が必要) |
| ベアハードウェアとROMモニタのみ |
10% |
スタック全体(OS、ミドルウェア、アプリケーションなど) |
大規模な開発とコード管理 |
* 米国の童話『Goldilocks and the Three Bears』による例え。童話では、金髪の少女が熊のすみかに入り込んで、豊富な食料の中からちょうどよい食料を選択する困難に直面する。
「ジャストライト」は、OEM企業が持っている技術、および既成技術の購入と自社開発のどちらを選択するかについてのOEM企業の傾向によって異なります。より一般的に言うと、モバイルフォンスタックまたはソリューションの評価では、スタックサプライヤとOEM企業の双方による投資、特に、彼らが基盤ハードウェアとオープンソースコミュニティのコードに価値を付加する方法を考慮に入れます。
OSDLでは、「バリューライン」がどこであるかが問題になることがよくあります。バリューラインとは、オープンソースと共有コミュニティリソースによって提供されるテクノロジーと価値が減衰し、サードパーティが価値を付加する可能性が生じるようなレベルです。企業では、バリューラインはLAMPアプリケーションプラットフォーム(Linux、Apache、 MySQL、Perl/PHP/Python)の上あたりに位置しています。組み込みアプリケーションの場合、一般通念では、このラインはおおよそ同じレベル(実装用のミドルウェア内)にくると考えられますが、境界はより不明確になります。
トールスタック
理論的には、ソリューションスタックが完全であれば、OEM企業は迅速に製品を市場に投入できます。現在の市場では、Microsoftとその他のサプライヤが「完全なソリューションスタック」とみなされたプラットフォームを提供しています。これは、OS、ドライバ、ミドルウェア、および特定分野向けのアプリケーションコードの集合であり、必要なソフトウェアの90~95%を含むとされています。しかし、これらのソリューションは、製品の差別化やブランド設定の余地がほとんど、または全くないことがよくあります。Microsoft Windows Mobileを搭載した電話機は、何よりもまずMicrosoft製デバイスです。ハードウェアやOEM企業によるその他の価値の付加は、PCの場合と同様にコモディティ化されます。また、これらのトールスタックは評判の悪い一体構造であり、多額のロイヤリティが課せられ、モバイルOEM企業がコンポーネントの選択やBOMの影響を最適化する余地はほとんどありません。理想的なトールスタックは、製品化されると、包括的な機能と高度なカスタマイズ能力を提供します。
ショートスタック
大部分のLinuxサプライヤの製品は、垂直アプリケーションのサポート、特にモバイルフォンのサポートが最小限しかない水平プラットフォームです。モバイルLinuxソリューションの中には、電力管理、リアルタイム、スケーラビリティなどについてカーネルベースの機能を備えたものもあります。それらはハンドヘルド型テレフォニーにはぜひとも必要ですが、OEM企業は次のような難問に直面します。
- 上記の機能がメインストリームで、コミュニティのソースツリーから派生したものである場合、プラットフォームベンダーによる価値の付加は、必要なハードウェアサポート、低レベルでの統合、およびQAに限定されます。
- 上記の機能がFOSSを超える独特の価値を提供する場合、それらはメインストリームではなく、Forkと単一ベンダーへ依存することになる危険性を伴います。
どちらの場合も、システムソフトウェアテクノロジーはバリューライン以下に位置するため、OEM企業は最低でもコモディティにプレミアムを支払い、最悪の場合、オープンソースインフラストラクチャの「税」を支払う羽目になります。いずれにしても、ショートスタックの場合は、デバイスドライバやその他のハードウェアサポートが豊富であったとしても、アプリケーション特有のエンジニアリングの大半がOEM企業に課せられます。
ジャストライトスタック
「ジャストライト」とは、完全性と柔軟性の間、および製品化の迅速性と明確な価値を付加し得る余地との間で折り合いが付けられているということです。上記のパラダイムでは、「ジャストライト」は60~80%のソリューション範囲に入ります。そこでは、オープンとプロプライエタリ、市販コンポーネントとフリーコンポーネントが混在する場合があり、安定したバージョンのLinuxカーネル、豊富なデバイスドライバ、(Java以外も含めた)実装用ミドルウェアの選択肢、すぐに使用できる市販後に導入するための一連のアプリケーションが含まれる必要があります。OEM企業のブランド設定、カスタマイズ、および差別化の余地が残されている必要がありますが、多くの場合、ACCESSやTrolltechのように、それ自体の品質保証またはブランドエクイティも伴います。
どのスタックも(ショート、トール、ジャストライトのいずれも)単独では成立しないことに注意することが重要です。モバイルソリューションは、OEM企業の社内リソースだけでなく、モバイルソフトウェアサプライヤやモバイルテレフォニーを扱うFOSSプロジェクトからなる新しいエコシステムへの関与を通じて完成されます。
格差の緩和
これまでは、OEM企業とコミュニティの双方の取り組みによって導入が推進され急増してきましたが、モバイルLinuxプラットフォームがあまねく普及するには、さらに投資が必要です。具体的な分野は次のとおりです。
- 開発の簡素化:ツール、ソフトウェアコンポーネント、ライブラリ、ドライバ、コーデックなど
- プロセスの改良:統合、テスト、および文書作成
- プラットフォームの標準化:スケーラビリティ、セキュリティ、および標準規格への準拠による相互運用性の実現
- カスタマイズの可用性:特にHMI(マン/マシンインターフェイス)における価値の付加と差別化の余地
- 特定分野向けの対応:シングルおよびマルチコア電話機向けの適正なプラットフォームでのコールスタックのサポート
ACCESS、Mizi、MontaVista Software、Trolltech、Wind Riverといったベンダーは、コミュニティの一連のリソースやイニシアチブの助けを借りながら、自社のリソースを投入してこれらの格差を縮めようとしています。
2005年10月、OSDLは4つめの最新のワーキンググループであるMLIを立ち上げました。MLIには、チップセットメーカーからLinuxディストリビューションおよびプラットフォームサプライヤ、ミドルウェアISV、ハンドセットメーカー、インテグレータ、通信事業者やモバイル事業者まで、モバイルテレフォニーエコシステムのあらゆるレベルからメンバーが参加しています。
OSDL MLIの使命
モバイル市場でのLinuxの採用を促進するため、次のことを行います。
- 技術的および非技術的な業界要件を特定し、それらに対処します。
- オープンソースでの実装を準備し、促進します。
- カーネルまたはオープンソースコミュニティに対する業界ニーズを擁護し、説明します。
- モバイルLinuxを奨励します(オープンソースの利点に関するモバイル事業者への情報提供など)。
- Linuxとオープンソースに関連した、モバイルフォンをめぐる法律上および規制上の問題を明確化します。
- プラットフォーム以前の開発者のエコシステムを可能にし、育成します。
MLIは、APIを公表したり、支持されずに終わるような規格を提案したりするだけでなく、ソリューションを生み出すことに力を注いでいます。そのために、MLIのメンバーは現在、リソースを整えて、ハンドセットOEM企業、通信事業者、およびモバイル事業者のニーズを満たす独特の実装を準備し、既存のオープンソースプロジェクトの進歩を促進し、またMLIの受益者とコミュニティ一般の利益のために、既存の社内テクノロジーを公開しようとしています。OSDLとMLIの詳細については、www.osdl.orgをご覧ください。
コミュニティのリソース
Linuxベースの電話機の構築と導入にあたりOEM企業、その顧客、およびサプライヤを支援するために、オープンソースで無数のプロジェクトやリソースが存在しています。
結論
この文書の目標は、モバイルテレフォニーにおけるLinuxの急速な成長について説明し、その成長の背後にあるトレンドや動因を検討し、またモバイルLinuxに関心を持つ開発者やその他の人々に対して、Linuxベースのモバイルハンドセットの構築と導入をめぐる課題に対処するための見方と手段を提供することです。また、この文書は、開発者、その管理者、顧客、およびパートナーに対して、Linuxプラットフォームソリューションやその他のリソースを評価する際の手引きと根拠を提供することを目的としています。
電話機メーカー、モバイルISV、通信事業者、モバイル事業者、およびサブスクライバの皆様に次のメッセージをお伝えします。Linuxは、お近くの電話機にも間もなくやって来ます。あなたの製品ラインで、あなたのネットワークで、またはあなたのポケットの中で、Linuxベースのモバイルフォンはモバイルワイヤレス業界を変革し、価値を付加する新しい機会を提供します。電話に出てください。タックス(Linuxのマスコット)があなたを呼んでいます。
Copyright(c) 2006, ACCESS Co., Ltd, and PalmSource, Inc. ACCESSは、日本およびその他の国におけるACCESS Co., Ltd.の商標または登録商標です。PalmSourceとその他の一部の商号、商標、およびロゴは、米国、フランス、ドイツ、日本、英国、およびその他の国で登録されている商標であり、PalmSource, Inc.またはその関連会社によって所有されているか、Palm Trademark Holding Company, LLCからPalmSource, Inc.によってライセンス供与されている商標です。これらのマークは、PalmSource, Inc.に属さない製品またはサービスとともに使用することはできません(ただし、PalmSource, Inc.のライセンスによって明確に許可されている場合を除きます)。これには、お客様を混乱させる可能性があるあらゆる方法、またはPalmSource, Inc.、そのライセンサー、子会社や関連会社の名誉や信用を傷付けるあらゆる方法が含まれます。この文書で使用されているその他すべてのブランドおよび商標は、それぞれ所有する各社の商標であり、各社の他の製品またはサービスを特定するために使用されます。
|